一流を知る!インタビュー

鍼灸・マッサージの真の価値に迫る 山近義幸(就職コンサルタント)×後藤修司(後藤学園理事長)の対談

後藤修司(後藤学園理事長)

2006/01/19

【東洋医療は、世界で確実に認知されはじめています】

山近:現在、専門学校の経営をやられていますが鍼灸・マッサージについてお考えのことなどありましたらお聞かせ下さい。

後藤修司(後藤学園理事長) 後藤:専門学校の経営を通して鍼灸・マッサージの今後のあり方について考えます。
アメリカでは鍼灸・マッサージ等の東洋医療が非常に盛んで、ほとんど毎週のようにマスメディアに載っています。アメリカやヨーロッパではそれまで救命や救急・診断など西洋医療が中心であったわけなのですが、この頃は「病気を診断し、原因をさぐりこれを取り除く」といった医療に行き詰まってきたのです。そこに東洋から新鮮な発想が入ってきたのですぐに広まった。西洋医療に対して、東洋医療は身体の自然治癒力を重視するといった新しい発想でした。アメリカ人からするとこれはカルチャーショックだったのだと思います。
教育面でも、東洋医療の学びを奨励する動きが活発化していますね。このように、アメリカではいいものが一気に広まるという気風は日本も見習わないといけないですね。

【身体を整えると心が整う】

山近:今、リフレックソロジーなど若者の間でとても流行していますよね。

後藤:そうですね、無資格ですが、これらは体を癒すもの、要は身体を整えるものです。例えばアロマテラピーもアロマの香りをとおして体を整えるところから始めています。

山近:すると、ストレスから解放しようということになりますか。若者を中心に今、自殺者3万人など騒がれていますね。とてもショックなことですし、こうしたストレスを感じ自殺にいくまでにどうにか彼らを救ってあげたい。

山近義幸(就職コンサルタント) 後藤:そう思います。しかし、残念ながらこの時代を生きていくためにはストレスはおそらくなくならないでしょう。このなくならないストレスを躍起になってなくそうとするよりも、‘ストレスに負けない体'を作っていくことの方がはるかに大切です。そう考えた方が無理なく実行もできるでしょう。先ほど山近さんが言われたリフレクソロジーや一時期流行したクイックマッサージ。これらは今疲れている若い人たちが求めているものなのだと思います。ただ、いずれは本物志向へと必ず変わってくるでしょう。私個人としても有資格者による鍼灸やマッサージを本格的に受けて体を強くしていってほしいと願います。

山近:なるほど。逆に学生は、やはりこういった高い意識を持って学びに来るのでしょうね。

後藤:確かに、最初は夢をもって入学してきます。しかし、これが入学すると段々小さくなってきてしまうことがあります。夢の中に不純なものがあったかもしれません。楽してお金をいくら稼いでとか等・・。そこで、我々はまず、生命の輝きを見せてあげます。病院に入院して苦しんでいる人を心からいたわり、鍼灸やマッサージを施しているシーンを見せるのです。すると、あっと思うのでしょうね。何かに気付き始める。そこで私は、「ありがとうございました」とお客様に言われる仕事はそうめったにない職なのだよと話すわけです。この話を聞いて、元の夢に気づいてくれる学生もいます。これは今までとは違って夢が小さな「志」が出てきた証拠です。更に、私は「自己内コミュニケーション」という言葉をよく使います。人をケアや治療をする前に自分自身をしっかりする。自然との一体化をすることで「自己内コミュニケーション」は活発に効果的に行うことができます。例えばうちの学生には毎日一回は必ず、空を見上げて、空に向かって思いっきり手を伸ばして伸びをしなさいと言っています。空と波長をあわせて「伸び」をすることで、自分の内面を整えることができる。あとは呼吸もそうですね。呼吸は本来「先に息を吐いてから吸う」。これで呼吸(はいて吸う)と書くのです。このような体の‘形'をとることで本来の自己と向き合うことができます。

山近:なるほど。先に与えるという精神ですね。考えてみると、世の中の仕事もそもそも全て先に与えることから始まっていたのでしょうが、いつからか逆転している気がしますね。働き手の意識を原点に戻さなければいけないと実感します。

【教育とは一緒に成長していくこと】

山近:さて、後藤理事長に教育について伺います。生徒の方々と接する際に気をつけておられることは何かありますか?私も経営者として、社員の能力が伸びていくよう気をつけています。

後藤:まず、‘今の若者たちは・・'とよく大人は言いますが、彼らは我々が持っていない良いところをたくさん持っていることを知ることです。行動が納得できないこともありますが、よくよく話をしてみると一杯いいところを持っている。ですから、思い込みはいけない。私は当校の教師に「先生になるな」といいます。我々の仕事はその学生の成長の手伝いをすることであり、やり方を押し付けることではないからです。私は学生たちの可能性を信じています。

山近:最後に鍼灸・マッサージの世界でプロを目指す方々にメッセージをお願いします。

後藤:東洋医療の治療は免疫力が低下状態であっても、落ちていくものを落とさない効果があります。自然治癒力、言い換えると「ホメオスターシス(恒常性維持機能)」という素晴らしい力を引き出すパワーがあります。我々がこれらの力を在学中の3年間ですべて教えることは不可能です。一流のプロになりたい意識をお持ちであれば、卒業後も修行するようにした方がいい。こだわりを持たず、規制概念にとらわれずに色々な分野にチャレンジして欲しい。とはいっても我々の仕事は科学的に実証できなければいけない。ただ、可能性を信じるというだけではいけないのです。具現化していくものが鍼灸であり、マッサージであると思っています。これらの施術は、紛れもなく命の可能性を伝え、人間の体は無限の可能性を秘めていることを実証できるものであります。

後藤修司(後藤学園理事長)

プロフィール
後藤修司(後藤学園理事長)
1949年5月1日生まれ。1975年に東京教育大学教育学部(理療科教員養成施設)を卒業し、翌々年には同大学理療科研究室研究生修了。同時に東京衛生学園専門学校学校長、小田原衛生学園・湯河原衛生学園(のち合併し神奈川衛生学園専門学校に)両校の学園長に就任。1988年には学校法人後藤学園理事長に就く。「人の命の輝きを支えていくという高い志と、心あるそして考える医療人を目指す学びの中から、自分自身を高め、充実させ、自己実現を図っていける」そんな環境づくりを掲げた建学の精神のもとに学校経営を行っている。世界で評価を集める東洋医療であるが、まだ認知の低い日本国内でも広げていくべく尽力をしている。