【リンパ治療について】
後藤先生が学校長をされている神奈川衛生学園でもリンパ治療室をお持ちですが、リンパドレナージに関してお聞かせ下さい。
リンパドレナージはフランスで起こり、ドイツに広がり医療として確立された治療法です。日本では「リンパドレナージュ」といわれ、医療としてよりも美容として先に知られるようになりました。医療としてのリンパドレナージは、その認識がまだなされていないのが現状であります。リンパドレナージとスキンケア、圧迫療法と運動療法を総合して複合的理学療法と呼んでいます。スキンケアは、 治療開始前に皮膚の様子を見て、乾燥しやすい皮膚の保湿・消毒などを行います 。また、 圧迫療法は 徒手リンパドレナージの施術により柔らかく・細くなった患部に圧を加えることで更に効果を促進させ、細くなった状態を保持する為行います。むくみの病期によって、弾性包帯を巻いて圧迫する方法と、弾性のスリーブやストッキングを着用する方法を行い治療し、弾性包帯着用のまま上下肢の運動をします。 |
【リンパドレナージの進化】
リンパ浮腫(むくみ)について教えて下さい。
原発性 ( 発育不全など ) や続発性 ( 悪性腫瘍の術後後遺症など ) によりおこるむくみのことです。 以前までは、「リンパ浮腫」というと女性の病気というイメージがありましたが、ここ数年では男性比率も増えてきていて、治療のやり方も進化してきています。我が校でもNPO日本医療リンパドレナージ協会と共に、 医療徒手リンパドレナージセラピスト の育成に努めるなど、リンパ治療には力を入れています。ただ、まだ認知が低いために、リンパ浮腫の患者がリンパ浮腫と気付かないこともあります。こうした患者がスムーズに治療を受けられるようリンパドレナージをもっと広めていく必要を感じています。 |
【「死」に立ち会う】
他には治療室へはどういった方が治療にこられるのでしょうか?
リンパ治療の現場では、末期がんの患者さんも数多くこられます。とても悲しいことですが、普通に生活している私どもよりもここに来る患者さんにとって「死」が切羽詰っているということをひしひしと肌で感じます。こうして病いと闘う患者さんたちとふれあい、良好な関係を持つことが、リンパ治療での非常に重要な役割です。 患者さんは、ほんの短い時間でも手をさすったり、手を握ったりしてくれる人を求めているのです。これは、メンタルヘルスとしての徒手のあり方です。肌が触れ合うことでのぬくもりや安心感が徒手の醍醐味であり、求められていることであります。 |
【アイデンティティーを捨てない民族になろう】
後藤先生にとって徒手とは何ですか?そのあたりについてお話をお聞かせ下さい。
リンパ同様、鍼治療の進化を見て下さい。例えば、欧米では自分たちの西洋医学に東洋療法を上手く取り入れ、活用しています。日本人は、新しいものが入ってくると今まで培ってきた自分たちのアイデンティティーをあっけなく捨ててしまって新しいものを導入していく風習が見られます。しかし、西欧ではこれが全く逆なのです。新しいものが入ってきた場合、自分たちのアイデンティティーはしっかりと掴んで捕まえたまま、その周辺で上手く新しい文化を取り入れていきます。これが日本と西洋の違いであるのかもしれませんが、我国ではこれから新しいものを取り入れていくときでも自分たちの今までの培ったことを捨てずに取り入れていくようにしなければいけないと感じます。 |
【徒手がつなげる「人と人のつながり」】
私は「徒手」の必要性を実感しています。我々の生徒たちにも、「このマッサージを通してあなたの表現ができるんだ」ということ、そして方法論として、色々なことを教えていきたい。
医者にかかるときを思い出してください。検査数値の結果を診て、薬を処方する。その医師と患者さんとの心のつながりは何もないですよね。そんな治療家になってほしくないのです。つながりをつくる、それが鍼灸であり、マッサージであると考えています。単純ですが、手を触れて治療すること・徒手こそが治療家と患者とのつながりを作ってくれるのです。そして、みなさんには頭より心が先に動く治療家であってほしいと願います。それこそが治療の核である「感動」であり、「共感」であるのですから。 |